8年・朝霧高原合宿

 10月12日から2泊3日の日程で、8年生は富士山麓の朝霧高原へ合宿に行きました。8年生はこれまでに、物理の授業で水力学、空力学といった流体力学を学んでおり、その学習のまとめとして、カヌーやパラグライダーを体験するのが目的です。また、8年のクラス担任期間の最後を締めくくる、修学旅行のような意味合いも兼ねていました。

 到着した朝霧高原での富士山の眺めは、最高に素晴らしいものでした。日本一のこの霊峰は、清らかで力強いエネルギーに満ちており、世界の「真・善・美」を、その壮麗な姿で惜しみなく体現してくれているかのようでした。

 初日、私たちは早速、パラグライダーを体験しました。パラグライダーの仕組みや乗り方の講習を受けた後、近くの小高い丘に出かけて実習に入りました。まず、3人一組でグループを組み、パラグライダーを装着した人の後方で、翼の部分を2人が広げて準備をしました。体を起こして少しずつ走り始めると、翼にあいている穴の中に向かい風が入ってきて、翼は次第に上へと上がっていきます。そして、助走によって翼に空気が充分に入ると、自然に離陸していくのです。この時、翼に集められた空気の力はものすごく、慣れないうちは助走するのもままなりませんでしたが、徐々にみんな、こつを掴んで体得していきました。体が浮き上がり、うまく気流に乗ることができれば、とても高く、そして長い飛行を楽しむことができます。生徒たちは、インストラクターの方の指導の声に合わせてうまく操縦しながら、次第に滞空時間の長い飛行ができるようになっていきました。後半、風がやや強くなってくると、思うようにいかずに倒れてしまい、風の力のすごさを実感させられることもありました。しかし、自然の法則を知り、流れを掴んでうまく合わせられると、快適なフライトを楽しめました。あの空中での爽快な気分は、ひとりひとりの胸にしっかり刻まれたことでしょう。

 翌日は、2人乗りのカヌーに挑戦しました。カヌーは、富士五湖のひとつの本栖湖で行われました。この湖から見える富士山の景色は、千円札に描かれているもので、まさしく絶景です。この日の水面は、穏やかな凪の状態で、カヌーには絶好のコンディションでした。オールの使い方等を教わってから、私たちは早速2人ずつ、カヌーに乗り込みました。水上での動きは、パラグライダーの時とは違って、より意識的に平衡感覚を働かせなくてはなりません。しかしながら、最初は多少戸惑いつつも、どのペアも比較的スムーズにカヌーをこぎ進めることができるようになりました。うまく息を合わせて快適に進んでいくペアや、どちらかだけがこいでいるペア、バシャバシャと水をかけ合いながらはしゃいでいる人たち、など、様々な姿を見せてはいましたが、美しい富士山を見ながらの湖上でのひと時は、格別なものとなりました。

 そして最終日は、サイクリングを楽しみました。雄大な富士山に見守られながら、爽やかな風が心地よく、私たちの肌をかすめていきます。パラグライダーの講習の際に、こんなことを教わりました。パラグライダーに乗る時は、空中にいれば自分の体の重みで自然に中心を見つけられるから楽なのだそうです。逆に地上での自転車は、自分で中心を見つけて、力の移動をバランスよく行わなければならない分、難しいということでした。

 思えば、サイクリングにしてもカヌー、パラグライダーにしても、「中心を見つける」ことが欠かせません。乗り物に乗っている自分が中心にあって、その上で風や水や大地の法則に応じた適切な動きを行うことによって、乗り物が動くのです。陸上でも水上でも空の上でも、凛として存在する自然の中で、自分がそこと調和することなしには、心地よい成果はもたらされません。逆に、自分の動きを自然の流れに調和させることができれば、そこにはえも言われぬ素晴らしい世界が待っています。

 現在、思春期のただ中にあり、とかく自己中心的になりがちな彼らにとって、この体験は意義深いものになってくれたに違いありません。富士山の大自然の力に見守られながら、今、ここにいる自分を感じつつ、自然に身を委ねる体験をもつことができました。

 これから担任期間を卒業し、より自立した学びを行う高等部へと進む8年生の子どもたち。美しく素晴らしく善きものである世界の中へ、自然のひとつである自分を感じながら、調和のとれた自由な人間になるための歩みを重ねて欲しいと思います。


空高く飛ぶパラグライダー


地上に帰ってきました


初めてのカヌー体験


見事なパドルさばき


楽しくカヌー体験ができました


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