学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2017.08.15

教育

「農から考える子どもの教育」教育展ー農に特化した展示がマニアックで面白すぎたー

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.6  2017.08.15

 確か小学6年生の時の卒業アルバムの将来の夢の欄に「小学校の先生になる」と書いていて、順調に大学受験では教育学部のある大学を目指していた高校生の私は、ふと「こんな面白くない勉強をしていて、何を教えられるようになるのかなあ。これまで学んできたことを教えるとかって違うよな。」とぼんやり思い始めていて。(受験勉強に疲れていて、現実逃避だったのかもしれない 笑)

結局教師にはならず社会に出て、子どもに恵まれて、その頃住んでいた街にあった図書館で、世界の様々な面白い教育、学校なんかを紹介する本を読み漁っていた時に「わああ何これ!面白い!!」と感動して胸が震えたのが”シュタイナー教育”の本でした。もう夢中で何冊も読んで、夢見がちな私は、あ~子どもがこんな学校に通えたらステキだろうなあと色々調べたものでした。

でも近隣に通えるシュタイナー学校はなくて、仕事も辞めるなんていう選択肢はなかったから、遠い世界のことと思っていました。

その後、次女も生まれ、どういう訳か藤野に移住することができ、今こうしてシュタイナー学園にお世話になっているのだけれど、今回の教育展の展示に触れた時に、あの頃図書館でわくわくした震えるような感動が蘇ったのです。

「あああ素敵だ。こんな授業を受けられているなんて幸せだ。」と。入学してからは、クラス会で担任の先生が授業の様子をシェアしてくださったり、授業を見たり体験できる機会は何度かあるのでその度に感動するのだけれど、12年生まで通した展示の圧巻さったらなかった!!

今回の展示は”農”に特化したものだったけれど、そのボリュームと、12年生まで貫かれた子どもの成長に合わせたカリキュラムは本当に唸るほど見事でした。

それは一番奥に展示されていた”カリキュラムツリー”にも現れていて、教科ごとの枝とそこから生えた葉に、それぞれの学年の学びの内容が網羅されているもので、そこまで見通して学びを重ねていけるって素晴らしいなあと、思わず見入ってしまいました。

その他に、授業の様子がわかる写真や子どもたちがつくる教科書の代わりとなるエポックノートの展示、水彩画の展示、3年生教室の再現、ため息が出てしまうような先生の黒板画、植物学の学び、農業実習の様子など、知らないこともたくさんあって、これから先の学びの数々にわくわくが止まらないのでした。

子どもたちの美しいエポックノートが印象的だった展示の数々。少しずつ紹介します。

3年生になってから「米作り」のエポック授業が始まります。米づくりに関連した漢字を、その成り立ちとともにクレヨンや色鉛筆で美しく丁寧に描いたエポックノートや田植えの様子の写真が展示してありました。米づくりのために必要な「長さ」や「重さ」の単位も学ぶので、尺や寸を学んだ時のノートや自分の体を使って色々な長さをはかっている授業の写真などもあって、有機的に繋がって響き合っている学びの様子がよくわかったのでした。

5年生からは植物学を学びます。植物と人間の心の成長の比較の絵がとても面白かったです。赤ん坊はキノコ、思春期を迎える子どもは美しい花を持つ双子植物と比較されていてました。子どもたちは授業の中で、植物の生態を実際に観察して、話を聞き、ノートに絵を描いて、植物と人間の心の成長の類似点を感じて、植物が身近な存在になっていくといいます。

7年生(中学1年生)から12年生(高校3年生)は自然科学(燃焼学、栄養学、有機化学、天文学など)の学びに。地球と金星の会合周期が描く花弁の絵など、文系の私からみて、どんどんマニアックになってくる学びに、「あーよくわからないけど、すごく面白そう!」と、これなら学び直したいと思うのでした。

そしてあまり知らなかった園芸・農業実習。

高学年の子どもたちが畑で何か育てているなあと思っていたのですが、6年生から始まる農業の授業では、おもに土の中で育つ芋類や根菜類を育て、7年生ではそれに加え、上に向かって伸びていくトマト・バジルなどを苗づくりから丁寧に取り組み、8年生では畑作業に加えて、自分たちで手がけた野菜を使った調理実習をするなど、自然と畑、畑と自分の生活をつなげる体験としています。

想像以上にたくさんの種類の野菜や花を扱っていたことに驚きました。どうしてその野菜をその年齢の時に育てるのか、子どもの身体の成長に合わせた農機具の扱いや農作業などが考えられていて、よく観る、感じる、考えるという感性を、ここでも丁寧に育てていることに感心しました。

9年生では2週間のバイオダイナミック農場での農業実習があって、バイオダイナミック農法の学びを描いたノートや農作業の写真などで様子がわかり、心情を綴ったノートなどもとても興味深かったです。

今小学3年生の娘に、学校の授業で「わああ楽しい!」って思う時ってある?と質問をすると、「手の仕事の授業はすごく楽しいし、エポック授業は毎日楽しいよ。」という返事が。毎日の授業の半分くらいを占める、およそ100分間の朝のエポック授業が楽しいという娘。子どもって本来は学ぶことは楽しいし、学ぶってわくわくする時間なはず。

学校が楽しい!美しさを分かち合える友がいる、そしてそんな素晴らしい授業を毎日毎日つくってくださっている先生方がいる。それだけで十分だし、それ以上ってない。それを改めて感じて感謝をした今回の教育展の展示なのでした。

なかむらあや(3年保護者)