学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2019.10.16

ランタンウォーク

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.70  2019.10.16

明るく、照りつけるようだった夏の日射しは、秋を迎え次第にやわらかくなってきました。これから冬至に向かい、だんだんと日が短くなっていく11月、シュタイナー学園では、1年生が行う行事があります。ランタンウォークです。

校舎の明かりはすべて消され、いつも走り回って遊んでいる見慣れた校庭には、夕闇が広がります。子どもたち一人ひとりが、自分で作ったランタンを手に持ち、こんな歌を歌いながら闇に包まれた校庭を歩くのです。

暗闇をつらぬき歩み

暖かさ 織りなしつ

愛に満ちた光

(日本語訳 古賀美春)

ランタンを持って歩くという行事は、日本にも提灯行列があるように、世界のいろいろな国や地域で行われています。それぞれがもつ由来や意味合いは違うと思いますが、ヨーロッパでは、11月11日の聖マーティンの日に、子どもたちがランタンに火を灯して家々をまわり、祝福の言葉を述べ、パンやお菓子をいただくという行事が行われる地域があります。聖マーティンはキリスト教の聖人で、雪の中で凍えていた物乞いに、自らのマントを半分裂いて与えたという、分かち合いにまつわる逸話が残っています。11月11日は、かつてヨーロッパでは冬の始まりの日であったそうです。この時期、木々は葉を落とし、動物たちは冬支度を始め、自然界のあらゆるものは静かに、自分の内へと入っていきます。私たち人間も、寒さに身を縮め、やはり夏とは違った、自らの内面に向かう意識を持つのではないでしょうか。

子どもたちが体験している「闇」というのは、大人が体験する「闇」とは違います。小さな頃、自分の家でも、ひとりで暗いところに行くのは怖かったという記憶をもつ方もおられると思います。その暗い闇の中、先生から一人ひとりろうそくの火を分けてもらい、静かに、歌を歌いながら歩く…クラスの仲間や先生と一緒に、皆の光で空間を照らし、闇を克服し歩いていく。教室に戻った後は、ランタンの灯りの中でおやつを分け合い、いただくクラスもあれば、分かち合った光を大切に、そのまま家に帰るクラスもあります。子どもたちが歩いている間、大人たちは校庭の片隅にある建物の中で、静かに歌を歌い、思いを送っています。

1年生の子どもたちも、やがて9歳の危機(※1)を迎え、次なる成長のステージに入っていきます。その時々で、つらく悲しい思いをしたり、孤独を感じたりすることもあるでしょう。このランタンウォークで子どもたちが体験することは、時間がたてば無意識の中に沈み込んでいくかもしれません。けれども、待降節(※2)の始まりに行われるもう一つの行事「アドヴェントの庭」と共に、大人たちに見守られながら、闇の中で光を体験することは、これからの人生に何らかの力を与えてくれるに違いありません。育ちゆく子どもたちが、どの子も、どんな時も自らの中にある光を信じ、見出していけるよう願います。

そして見守る大人たちにも教えてくれるのです。闇を克服し、自らの光を世界に分かち与えるとき、光は決して減ることは無く、自分も自分の周りの世界も、より明るく輝いていくことを。

最後に、1年生から4年生頃まで、シュタイナー学園の子どもたちが毎日歌っている歌の歌詞をご紹介します。

おひさまが顔を出し 暗闇を照らす

銀色に輝く 朝の光よ

私の心に 小さな灯(ひ)がともる

だれにも消せないともしびとなれ

(日本語訳 岡村ふみ)

※1:9歳前後の子どもに起こる成長の節目。自我が芽生えることにより世界との一体感から切り離され、大きな不安を感じる。

※2:クリスマスの訪れを待ち、準備する4週間。アドヴェント。

クラス補助/ライター 岡田佳子