学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2025.09.17

教育

“誰もが受けとることのできる教育”を目指して

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.218 2025.9.17

現在、シュタイナー学園8年生の担任をされている帖佐美緒先生。シュタイナー学園の「シュタイナー学校教員養成講座」や、9月20日に行われる青山学院大学での出張講座でも講師を務めます。教員になられたきっかけや、想いを伺いました。

*帖佐先生が講師を務める9月20日の「シュタイナー教育体験講座」、お申込・詳細はこちらをご覧ください。


 

子どもたちのために何かできることはないか?と思う日々
 
きっかけは、娘がシュタイナー幼稚園に通ったことです。娘が進学した「東京賢治シュタイナー学校」からお声がけしてもらい、オイリュトミーのピアニストを11年、後半の5年間は音楽の先生も務め、とても良い経験を積ませていただきました。けれども心の片隅で、「シュタイナー教育は経済的に恵まれているご家庭、教育に関心の高い両親がいることなど、一部の人しか受けることができない教育になっているのではないか?」と疑問を持つようにもなっていました。
 
ちょうど娘が卒業する頃、子ども食堂が各地に設立されるなど、日本の経済格差の問題が深刻化しクローズアップされるようになっていました。自分の居る場所だけでなく、世界をもっと知りたい、本当に困っている子どもたちのために何かできることはないか?と思うようになり、あらためて教員免許を取れる通信制の大学にも通いました。
 
そんな時、シュタイナー学園との出会いがあり担任を務めることになりました。担任として子どもたちと向き合ったことはなかったので、未来につながる良い経験になるという確信がありました。
 
「本当かな?」が「なるほど!」に変化
 
担任になり、子どもたちと出会い、私の世界はどんどん広がっていきました。教員養成講座などでシュタイナー教育を学んできましたが、自分自身が経験していないことに関しては「本当かな?」という思いも正直ありました。けれども、子どもたちとの日々で多くのことが「なるほど!」に変化。中でも “体の発達がどれだけ大切か” を痛感しました。
 
例えば “落ち着きがない子” がいるとしたら、その対極で “動くことが苦手な子” もいますよね。どちらにも通じていることは、自分の体をコントロールできていないこと。こういう場合は、肉体の感覚を育むことをたくさん行うようにします。“自分の体をコントロールできる=自分の心身を自由に使えるようになる” ということを実感する毎日です。出張講座でも話す予定ですが、AI時代と言っても最終的に動くのは人間なので、このことはこれからますます重要になると思います。
 
これからの子どもたちのためにできることを
 
担任を経験し、“何が本当に教育に大切なのか” をさらに教えてもらった気がします。子どもたちは平等に教育を受ける権利を持っています。どんな境遇の子も、どんな学校を出ていたとしても、卒業後は共に世界をつくり生きていきます。これからの子どもたちのために私たち大人が、「◯◯教育」「◯◯学校」などで教育を区分けし過ぎる意識をもたず、良いものはどんどん広めて共有して、いろいろな人とつながっていきたい。良いものは誰でも受けとれる世の中にしたい。それが、これからの未来の子どもたちのために私たちができること、すべきことだと思っています。
 
ライター 林亜沙美