学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2026.02.18

教育

子どもの生活とともにある音楽

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.229 2026.2.18

シュタイナー保育園「とねりこ子どもの家」の子どもたちは、ライゲン(※)、片付け、朝のあいさつ、手遊び、オイリュトミー、お昼寝の子守歌、お散歩などで音楽を体験しています。

朝、登園すると室内遊びが始まります。終わりの時間が近づき、保育者が “ゴミだーらーけの ちいさなノーム やってきーていったーよー クルックルックルー シュッシュッシュー おかーたーづーけー” と歌いだすと、子どもたちは片付けを始めます。そして片付けが終わると、 “つーながれー つーながれー ヘビごっこするもの つーながれー” の歌に合わせ、手をつないでトイレに向かいます。
 
始まりも終わりもはっきりとした言葉の合図はありません。代わりに歌を歌うことで子どもたちは自然と動きだします。それは、毎日同じ繰り返しのリズムの中で過ごすことで、子どもたちが次に何をするのかをちゃんとわかっていて、そのことに安心感を持って過ごせているからだと思います。
 
シュタイナー園では季節の移り変わりを歌でめぐっていきます。季節に合ったテーマは、メロディーや言葉の響きが子どもたちの心を生き生きと輝かせ、じっと耳を澄ませて聴く力を強めてくれます。
 
保育者が歌に手の動きや足の動きを入れると、子どもたちも保育者の動きをじっと見てまねようとします。それが歌に合った模倣しやすい動きであればあるほど、子どもたちの模倣の力もぐっと保育者に引き寄せられます。動きは音楽体験だけではなく、子どもたちの聴く力や模倣の力をさらに強めてくれていると感じています。
 
子どもたちはライゲンや手遊びの中で耳を澄ませ模倣すること、さらには聴くための静けさを体験していますが、それだけではなく、外遊びの中でも音楽に必要な聴く力を培っているのではないか、と日々感じることがあります。それがお散歩です。お散歩では自然の中で静けさを感じ、自然の音、たとえば鳥のさえずり、風の音、雨の音などを聴いています。お散歩が子どもたちの静けさの体験と聴く力を養う良い機会だと感じています。
 
2月に節分の歌を歌うと、子どもたちが目を輝かせて聴いてくれます。「もういっかい」と言って何度聴いても飽きない子どもたち、笑顔いっぱいです。何度も歌っていると子どもも模倣して一緒に歌いはじめます。その姿は喜びにあふれています。
 
この時期、一日のいろんな場面で歌う歌は『シュタイナー幼稚園のうた』という本にある“ねこやなぎ”や、日本の童謡“うぐいす”です。まだ春が始まったばかりのこの時期にぴったりな歌で、春のそわそわする気持ちや、まだ寒くてふるえてしまう日もあるけれど、あたたかい風が吹いてきたり、ほんわか梅や水仙などの花の香りが漂ってきたりするのを実際に体験し、それを歌というリズムの中でも体験します。
 
シュタイナーは『霊学の観点からの子供の教育』という本の中で、幼児期に重要なのは調和した言葉のリズムを感覚に印象づけること、音楽のリズムに従って動作することが器官形成を促す力になる、と語っています。人生の土台となるからだを育む幼児期に、全身で楽しむ生き生きとした音楽体験を大切にしています。
 
※ライゲン:ドイツ語で「輪舞」を意味します。輪になって、あるテーマ — 自然(動物、植物、小人や妖精、雨、雷など)や行事、物語(メルヘン)、生活の動作(例えば洗濯物屋さんなどの家事、パン屋さんなどの職人さん)など — を歌に合わせて 一緒に動きます。先生が動くと子どもたちが模倣して一緒に動きます。
 
文/保育士 田中 薫