学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2018.08.21

1~8年生までの子どもの成長とカリキュラム

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.41  2018.8.21

1~8年生までの子どもの成長とカリキュラム

シュタイナー教育の大きな特徴は芸術的な教育であることですが、何よりも子どもの成長段階に合わせたカリキュラムが組まれていることにあります。今回は、1~8年生の学びの様子をご紹介します。

シュタイナー教育における低学年の学びは、『ファンタジー』と『模倣』の力を用いての学びです。算数の時間、1年生は机に向かって計算練習をするのではなく、例えば、魔法世界のお話を聞いて、花の数が増えたり動物の数が減っていくのに合わせて四則計算の練習をします。数の分だけ跳びはねたり、手を叩いたり、先生の真似をしながら唄ったり、遊び感覚で計算練習をしていきます。また、教師は毎日のようにお話の時間を持ちます。蜜蝋ロウソクに火を灯し、グロッケンの美しい響きとともに、お話の時間の始まりです。子どもたちは目を輝かせ、かたずを飲んで、教師の素話に聴き入ります。国語でも、先生の話すメルヘン・ストーリーに一喜一憂しながら、そのお話から生まれる文字を学んでいきます。感情移入した分、新しく出会った文字は彼らにとって、思い入れのある特別な文字となります。先生を真似ながらお話の絵を描き、嬉しさいっぱいで習った文字を書いていきます。このように低学年ではどの授業も子どもがワクワクドキドキする、学ぶ楽しさに満ちあふれています。学校がない週末になると、子どもたちは「つまらない!何で今日は学校がないの?」と、家で文句を言うという話もよく耳にします。

9歳頃になると子どもたちは変化を見せ、それまでのぼんやりとした世界からもっと現実的な世界に意識が向いてきます。ですから3年生からの学びはもう少し実際の生活に即したものになります。

1年間を通したお米作りはその中の一つの大きなイベントです。畦を作り、田植えをし、雑草を抜き、案山子を作り、稲刈りをしてお日さまの恵みの光の下で稲を干し、昔ながらの手作業で脱穀をし、最後はご飯を炊いて全校生徒におにぎりをふるまいます。単にお米を作るだけが目的ではなく、収穫のお米を桝に入れて測ったりすることで度量衡の学びもします。一石は人間1人が1年間に食べるお米の量ですから、戦国時代のそれぞれの国の規模がどれほどだったかを想像しやすくなります。

米作りの後は家作りをします。度量衡はここでも大活躍。まず初めに手足を用いて長さを測り実感することで、生活の実用に基づいて長さや重さの単位が作られていったことを知ります。1畳は人が一人横になる広さだし、1坪は家族2人が寝られる広さです。家作りでは、毎年、創意工夫に満ちた家が出来上がりますが、子どもが造ったものとは馬鹿にできない素晴らしい出来栄えの家ばかりです。その他にも、紙すき体験、鍛冶屋体験、炭焼き体験、木こり体験等、どれも子どもたちは目を輝かせて職人たちの仕事ぶり、人の生活のための仕事を体験していきます。

8年生の頃にはグンと身長も伸び身体も大きくなります。思春期に入り、幼い頃に活発に動いていた手足が不活発になり体の重さと戦っている8年生。この時期にパラグライダー・カヌー合宿に行きます。背負ったパラグライダーで風をいっぱい体に感じ、青く澄んだ大空にふわりと体を持ち上げられる驚き。舞い上がってからの高い目線で地上を見下ろす感動。それこそ鳥の視点で世界を見る新鮮な体験です。この合宿は、8年で習う物理の空力学や流体力学をただ机上の理論に留めて頭で理解するだけではなく、日々自分の重さと向き合っている彼らが空気や水の力の凄さを実際に体験することで、物理をより深く理解することを目的としています。

ここに書いたのは学園の学びのほんの一端です。子どもたちの学びの様子を見ていると、シュタイナー教育のカリキュラムが、その時々の子どもたちにピタリとマッチして深く浸透していく様を目の当たりにします。教師として、シュタイナーの人間観を基に創られた、時代を超えた教育の在り方に感心させられます。

シュタイナー学園教師:木村義人