学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2019.03.27

柔らかい響きのオーケストラ

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.56  2019.03.27

シュタイナー学園には放課後の活動の1つにオーケストラがあります。どんな活動をしているのか?シュタイナー学校の音楽の授業とのつながりなど、顧問の古賀先生にお話を伺いました。

オーケストラでは何年生が活動していますか?

7年生(中学1年生)から12年生(高校3年生)の40人くらいが週に1度集まって練習しています。

中学高校でオーケストラがあるのは珍しいですが、楽器経験者の生徒が多いのでしょうか?

そうですね。基本的には既に楽器を習っている子どもたちです。でもある時、何も楽器ができないけれど、オーケストラに入りたいという男の子が来てくれました。どうしようかなと悩んだのですが、指導をしてくださっている間瀬先生と相談して、その子のためにティンパニーを取り入れることにしました。まだ習い始めていないけどビオラをやりたいという子も入ってきて、まずは弾ける音だけを弾いたりしていました。サックスで入ってきた子どももいます。ですから、ここのオーケストラはモーツァアルトやベートーベンにサックスパートがあるんです。こうじゃなきゃというのが私にも子どもたちにもあまりありませんから、その都度柔軟に可能性を探ることができるのではないでしょうか。子どもたちのさまざまな希望がこの学園のオーケストラを豊かにしてくれていっているように思います。

週に1度の活動だとなかなか上達しなさそうですが(笑)

はい。その通りです。本当はもっと練習してきて欲しいのですが、みんなで集まって楽しみながら曲をつくっていくという感じです。音符を読むのも上手ではありませんがニュアンスを受け取る力はすごいのです。例えば「お墓の暗い感じじゃなくて、アイスを舌に乗せた時の感触で!」なんていうのをちゃんと汲み取ることができます。イメージする力は素晴らしいですね。普通は拍子で揃えるんでしょうけど、ここの子どもたちは指導者から発せられるメロディーの動きやハーモニーのニュアンスと拡がりを各々が感じ取りながらみんなで音楽をつくっていきます。10年ほど前から指導してくださっている間瀬先生は、そういうやりとりが楽しいとおっしゃってくださいます。学園の子どもたちにとって、素晴らしい指導者を得ていると思います。

それはシュタイナー教育の授業、中でも音楽の授業で培った聴く力などが関係していますか?

そうですね。例えば5年生のライアーの授業だと、はい!と私が拍子をとれば簡単なんですけど、そうではありません。一人ひとりが空間に耳を傾けて、次の音がいつ来るのがふさわしいのだろうと判断するという学びをしています。それが生きていく力にも結びつくのだと思うのです。器用ではない子どもでも、楽器を習っていない子どもでも、音楽的な人間になるような授業を心がけています。音楽の能力というのは、楽器が弾けるとか上手に歌が歌えるとかいうことだけじゃないと思っています。誰もが自分の中に音楽を持っています。

4月にオーケストラ&コーラスのコンサートが予定されていますね。発表の場は他にもあるんですか?

毎年学園のオープンデイや文化祭でも学園内外の方々に楽しんでいただいています。地元のイベントも、声をかけていただいていて参加したこともあります。もう1つの音楽系のコーラスの活動では、以前病院や福祉事業所にも行っていました。とても喜んでいただいて、それが子どもの喜びにもなっていましたが、それ以上に大切なことをたくさん学ばせていただきました。そんな機会はもっと増やせたらいいなと思います。

子どもたちは何がモチベーションになっているのでしょう?

音楽が純粋に楽しいっていうことかと思います。だからあんなに柔らかい音なんじゃないでしょうか。

子どもたちのことを「人生を楽しんでいて本当にうらやましい」と目を細めて笑う古賀先生。そんな先生を見ていると、どんな時も自分の意思が大切にされ、ありのままでいることができる子どもたちの健やかさを感じずにはいられません。春のコンサートではそんな子どもたちの柔らかな響きや透明感のあるコーラスもお楽しみいただけます。

ライター なかむらあや