学校法人 シュタイナー学園

よくある質問

教科書がないということですが、教科書に頼らずにどうやって授業を行うのですか?

初等部では教員が単元を研究し、その時期のそのクラスの子どもたちにふさわしい方法を創意工夫によって編み出しながら教えます。子どもたちは黒板を写して色鮮やかなノートを作ります。このノートが完成すると、オリジナルの教科書になります。教えるべき内容は学習指導要領に準拠していますが、手法が目の前の子どもたちに合わせたものになります。また、高等部では時期をみて教科書を配布し、使用することもあります。

芸術を通した授業を行なっていると聞きますが、どのような授業ですか?

歌や詩、物語をあらゆる教科で導入しています。水彩画やフォルメン、教師の描く黒板絵を子どもたちが丹念にノートに写し取ることも芸術行為です。身体を動かすことや、木の実などを使った算数や、自然素材を使い自らの手で教材を作ることもあります。聞くこと話すことのバランスを取ることも、芸術的な行為と考えています。

エポック授業という集中して教科を行う授業があるようですが、通年続けて授業をしないで子どもが内容を忘れてしまいませんか?

長年実践を重ねてきて、エポック授業にはいくつものメリットがあることを実感しています。朝の最も集中できる時間に約100分間じっくりと取り組むことで教科の内容が非常に深められます。数週間そのテーマに没頭するため子どもたちの理解も深まり、芸術的なアプローチを用いることでより強い記憶を残します。一定期間テーマから離れ、忘れることで、再び同じテーマに出会った時、より深く学びに入ることができます。

一人の先生ができるだけ長く担任を続けることには、どんな意図があるのでしょうか?

担任が継続して持ち上がることで、学齢期の始まりから思春期にさしかかる子どもたちの成長の全体を見通し、長期的なまなざしで育てることができます。子どもの様子を深く観察しながら、今最も大切だと教師が考える事柄を優先して学習速度を決めることができます。子どもたちは同じクラスの仲間と、様々な節目を乗り越えながら互いを真に知り、共に生きるすべを身につけます。そして見上げる存在として目の前にいた担任を乗り越え、離れることによって健全な思春期を迎えると考えています。

テストや通知表がないそうですが、なぜですか?学習面の家庭への報告はありますか?

教育の目的が、試験で高得点を取れる知識を身につけさせることではなく、年齢ごとの発達にふさわしい働きかけにより全人としての人間を育むことだと考えているからです。成績を競うのではなく対象への興味と知る喜びが、学習の動機となることを理想とし、指導しています。そのため初・中等部では点数評価による通知表ではなく、担任、専科教員が個々の子どもについて文章で記述する「成長の記録」を各学年末にご家庭にお渡ししています。ただし高学年になると学習の定着度合いを見るための確認テストを行うことがあります。高等部では確認テストや「成長の記録」に加え、自身の学びを客観的に捉え、卒業後の進路に備えるための評価・評定を行なっています。

子どものテレビの視聴やコンピュータの使用を禁じていると聞いたのですが、それは何故ですか?

コンピュータは、9年生でその原理を学んでから授業や家庭での調べ学習でも用います。テレビやビデオなど様々なメディアは低学年には推奨していません。デジタル化された映像や音響の刺激に没頭する前に、充分に感覚を使って自分で歌を歌ったり、絵を描いたり現実の事物や他者とかかわる体験をして欲しいからです。若年層へのメディアの弊害はシュタイナー教育に限らず、様々な学説で支持されています。

・テレビの視聴は脳に様々な影響を与え、子どもの想像力の発達を阻害する。また、かつて考えられていたよりも、視力の低下、肥満、性的早熟や自閉症になりやすいなど、子どもたちの健康にとってリスクを高める可能性がある。 Sigman, Aric, Dr. The Effects of Media Influence and Screen Culture on the Developing Child Visual voodoo: the biological impact of watching TV  より心理学者アリク・シグマン博士(イギリス心理学協会)の意見を抜粋
・TV、DVDプレイヤーなど受動的エンターテインメントの視聴は乳幼児に悪影響を及ぼす可能性があるとの研究成果をもとにした科学的知見を発表。「遊びは子どもにとって、問題解決を行い、想像力を使い、創造的に考える貴重な時間だ」
「2歳未満の子供にはテレビを見せないで」、米国小児科学会が指針 より 小児科医アリ・ブラウン博士(米国小児学会)

低学年でのサッカーや野球を推奨しないと聞いたのですが、それはなぜですか?

肉体の基礎を形づくる低学年のうちは、バランスよく全身を発達させるため、身体の特定部位に偏った負担を伴うスポーツは推奨しません。また、あまり幼いうちから競争心を煽ることも望ましくないと考えています。しかし骨格が発達し、心身ともに準備が整った高等部になれば、体育の授業の一環としてソフトボールやサッカーも行います。

入学前の読み書きや早期教育を勧めないのはなぜですか?

幼いうちに知識偏重の教育をすることは、想像力や感覚器官、肉体の基礎作りを阻害すると考えています。このような考え方はシュタイナー教育に限りません。

・基本的にほとんどの項目で例外なしに体験認知型の子どもの情緒性、自発性、運動性、認知性、社会性の育ちが、パターン認知型(いわゆる知育)に比べて総じていいというデータが出ております。
(中央教育審議会「幼児期からの心の教育に関する小委員会」(第11回)平成10年1月29日議事録より教育学者汐見稔幸(東京大学名誉教授・白梅学園大学学長)のコメントを抜粋)

シュタイナー教育は特定の宗教と結びつきがあるのでしょうか?

特定の宗教との結びつきはありませんが、季節ごとの行事には、日本の伝統的な節句と並んでキリスト教文化圏のものも多く取り入れています。また、シュタイナーの思想の根底には、独自の世界観があります。けれどもそういった世界観も、シュタイナーという人物についても、学校で教えることはありません。
私たちは子どもたちの中に自然や神聖なものに対する畏怖と敬虔さを育てることが大切だと考えており、初等部では「古事記」などの日本の神話、旧約聖書、ギリシア神話、北欧神話など世界の神話を学びます。中等部では世界の文化として様々な宗教を取り上げます。ただし、特定の宗教への誘導的な教育は行いません。学園の保護者や関係者には、キリスト教徒も仏教の僧侶も、神職の資格を持つ人もいます。

12年生卒業後の進路はどのようになっていますか?

知識偏重ではなく、「意志」と「感情」と「思考」の調和に基づいて世界へ働きかける人間を育成しているので、進路は十人十色です。その中で大学に進む生徒も多くいます。近年では、シュタイナー学園での学びの傾向が、AO入試や推薦入試に向いていることもあり、現役で早めに進路が決まる人もいますし、卒業後1年はギャップイヤーを取り、充分な受験対策をしたり、海外でボランティアや語学学校に行ってから受験に臨む生徒もいます。また、演劇などの芸術教科や職業実習、福祉実習などの体験の中で、自分の進路を決める生徒もいます。進学も就職も、「自分がやりたいことを自分で納得して進路を決める」というのが特徴です。
こちらのページでは卒業後の子どもたちの考え方や進路もご紹介していますので是非ご覧ください。
https://fujino.steiner-column.com