
2025.06.11
みんなの気持ちがひとつになる瞬間を見逃さない
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.211 2025.6.11
これまで中国語を活かした仕事や、太極拳講師をされてきた馬場愛子先生。数年前に大きな転機が訪れ、今ではシュタイナー学園の3年生担任として活躍されています。そんな馬場先生に、教員になられた想いや子どもたちと向き合う中で大切にしていることなどを伺いました。
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シュタイナー学園の先生になられたきっかけを教えてください。
元々、都心に住んでいて、大学の頃に学んだ中国語を活かし、企業でIT関係などの仕事をしていました。子どもが生まれ、シュタイナー教育との出合いもあり、娘が小学校に入るタイミングで藤野に引っ越し学園に入学しました。太極拳もずっと行っていたので、“自然の流れに沿った形で生きる”ことを大切にするシュタイナー教育が、私が大切にしていることとぴったり合っていたんです。
学園に入学してからは、シュタイナー教育についての勉強会や教員養成講座などでたくさん学びました。「教員になりたい」という気持ちよりは「学びたい!」という湧き上がる熱からでしたね。けれど移住して3年目に、「第二外国語、中国語の専科の教員をしませんか?」と学園から声をかけていただきました。「私にできるだろうか…」という気持ちもありましたが、周りの方々の助けを借りながら、暗闇の中手探りでチャレンジさせていただきました。
その数年後に今度は1年生のクラス担任になるかどうかの選択をする機会があり、正直とてもとても悩みました。やはり「私にできるだろうか」という不安な気持ちが大きかったです。ある先生に相談したところ、「これからのことを想像するのではなく、あなたがこれまで辿ってきた道を思い出すことがヒントになるのでは」とアドバイスをいただき、今までの人生の道を思い出してみました。色々な想いが巡り、「あぁ、このためにこれまでの経験があったのだな」と腑に落ち覚悟が決まりました。今となっては、この決断をしてよかったなと心から感じています。
クラスの中で大切にしていることは何でしょうか。
子どもたちに対して畏敬の念を持つことはもちろんなのですが、他にも“みんなの気持ちがひとつになる瞬間”を見逃さないようにしています。思い描いた授業ができなかった時など、「今、子どもたちは何を求めているのかな?」ということに気持ちを向け想像するのですが、子どもたちの想いを感じ取ることができたらとても嬉しいし、それを受け取ることができるとクラス全体が喜ぶ感覚があります。太極拳講師をしていた時にもこの感覚は大切にしていたし、文化の違う中国の方たちと仕事をする機会も多かったので、個々の違いを大切にしつつ、ひとつになる瞬間は本当に尊いと実感しています。
未来に思い描いているヴィジョンはありますか?
教育が世界平和を実現すると信じています。シュタイナー学校であるか否かという枠を超えて、すべての場所で、子どもに対して畏敬の念を持つことができる先生が増えていくといいなと思っています。これまでの仕事が教員でなくても、その仕事での経験を必ず活かすことができます。未来の子どもたちの平和へと繋がるように、これからも私自身行動していきたいです。
ライター/自主クラス ことりさん保護者 林亜沙美