2026.01.07
内側にあるものが開いていく場所 ─シュタイナー教育が育んだもの─
卒業生コラム 21期生 土田温さん(後編)
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.226 2026.1.7
イベントスペース運営やプロジェクトマネジメントに携わる土田温さん。前編では初・中等部までのお話を伺いました。後編は、高等部の学びから大学、そして現在のお仕事につながる経験についてお話を伺います。
高等部に進むとき、外部の学校も検討されたと聞きました。
ずっとシュタイナー教育の環境にいたので、外の世界も見てみたいと思ったんです。夏期講習に参加して毎日テストを受けるような、いわゆる「勉強」というスタイルも、やってみたらなかなか大変ではありましたが、それも楽しめる自分にも気がつきました。
でも最終的には、やりたいことを伸び伸びとやりきれる環境で学びたいと思い、シュタイナー学園の高等部に進むことを決めました。
高等部ではどんなことに取り組まれましたか?
生徒会に入り、オーケストラにも参加しました。生徒会室をもっと居心地よい場所にしたいと、DIYしたこともあります。初・中等部は先生方に見守られながら「暮らしや自分自身の基盤をつくる時間」だったとすれば、高等部は初・中等部で育んだ「内側にあるものを自由に表現できる場所」でした。
11年生の福祉実習が大きな経験だったと伺いました。
障がいのある方が働く作業所に行き、その方のペースや大切にしていることに寄り添う中で、「聴く」ことの意味を強く感じました。表情や仕草を見て、その人の思いに耳を澄ませることで、その人自身が感じている世界を知ることができる。深く残る経験でした。
その経験は12年生で行う卒業プロジェクトにもつながったのですね。
高等部では途上国の教育課題に取り組むNGOでも活動していて、外の社会課題に関心を持っていました。
実習や学校外での活動が重なっていき、「途上国における対話の重要性」というテーマを選びました。途上国の課題の解決や、教育の普及に際しては、何かを教え込むのではなく、その人の内側にある可能性を対話でひも解いていくことが、ひいては社会の発展につながっていくことだと考え、発表しました。学園生活を通してクラスメイトや先生と対話を通して築いたものの大きさを感じていたことも、背景にあったと思います。
大学進学後はどのような学びを?
青山学院大学の地球社会共生学部で、発展途上国の教育開発やインフラについて学びました。本来は海外での実習が予定されていましたが、コロナ禍で叶いませんでした。それでも「経験を取りに行こう」と企業インターンに積極的に参加し、学びを深めました。
現在のお仕事にはどのようにつながったのでしょう?
インターンで多様な人と関わる中で、「人の内側にある創造性が発揮される場をつくりたい」という思いが強くなりました。創造性や表現が生まれる場所に関わりたいという思いを実現する場づくりができると感じ、入社しました。
最後に、シュタイナー教育で得たと思うものを教えてください。
個々を認める力です。内側にあるものを大切にし、対話をする姿勢とも言えるかもしれません。「聴くこと」と「伝えること」の両方を、学びを通して得ることができたように思っています。
シュタイナー教育を信じて学びの機会をくれた母や、見守ってくださった先生方、周りの方々には本当に感謝しています。学園で過ごした12年間は、今の自分を支える大切な土台になっています。
人の可能性が開かれていく場をつくりたい― 土田さんの思いの根底には、学園で過ごした日々が確かにつながっています。
文/保護者 中村暁野