学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2019.12.18

卒業生

自分の楽しみが人にも喜んでもらえたことがとてもうれしかった。その気持ちが起業の原点にある気がします

卒業生コラム 第20期卒業生 東出風馬さん(前編)

【東出風馬さん】
シュタイナー学園第20期卒業生の東出風馬さんは学園在学中の17歳の時にコンパニオンロボットを開発する会社を起業し、現在、株式会社Yoki(ヨキ)の代表取締役社長を務めています。小さい頃からものづくりが大好きだったという東出さん。自分の強みを活かし仕事を生んだ東出さんに、シュタイナー教育と出会ったきっかけや、どんな学校生活を過ごしていたかについてお話を伺いました。

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シュタイナー教育に出会ったきっかけは何だったのでしょう?

国立にあったシュタイナー幼稚園に通ったのが、シュタイナー教育との出会いです。自分の一つ上の代が、藤野に移転したシュタイナー学園の一期生にあたる学年でした。私も、就学の時に国立から高尾に引っ越しをし、シュタイナー学園に通うことになりました。


子ども時代で記憶に残っていることはありますか?

水ロケットを作ったり、ピンホールカメラを作ったり、ザリガニを飼って孵化させたり、ものづくりや、何かを研究するのが大好きでした。特に4年生で取り組んだ『家づくり』は楽しかった記憶があります。でも、実は低学年の頃は学校があまり楽しくなかったんです。自分は何か一つに熱中しすぎてしまうところがあって、それってあまりよくないんじゃないかという思いがあった。でも高学年になるにつれて、自分の強みを、自分も周りのクラスメイトたちも認識し始めて、力を発揮することができるようになっていった気がします。僕は8年生の終わりには起業しようと決めていたのですが、そう思ったきっかけのひとつが7年生と8年生の時の文化祭でグライダーを販売したことでした。ものづくりの一環でグライダーを作っていたのですが、上昇気流に乗ると10分くらい飛ぶ。そのグライダーをキットにしたら、30分程度で50機売れたんです。自分の楽しみが人にも喜んでもらえたことがとてもうれしかった。その気持ちが起業の原点にある気がします。

その頃は何の起業をしようと思っていたのでしょうか?

今も取り組んでいる、コンパニオンロボット領域の事業で起業しようと思っていました。8年生の頃にコンパニオンロボットに興味を持ち、設計製作をしていました。そんな時、スティーブ・ジョブズの名言集をたまたま書店で見つけ、『自分の好きなことを事業にする』という生き方を知り、自分もこういうことをしたいと思いました。8年生の終わりにクラスで作った8年のまとめの文集には『2020年までに起業する』と書いていました。

高等部に入る前に、もうそんな決意を持たれていたのですね。

高等部に入ってすぐコンパニオンロボットを作るための部活を立ち上げて、学校でもロボット作りをしました。学校にあったボロボロのデスクトップを使って、プログムを組んで、部費で材料を買って機械工作をして(笑)。その頃にはもう自分の得意不得意みたいなものがはっきりわかっていたので、得意なことを伸ばそう、と思っていました。僕、漢字とかはいまだにあまり書けないんですよ。9年生~10年生の1年くらいでコンパニオンロボットの試作第1号ができました。それで2016年、10年生の時に個人事業主として開業しました。

2020年までに、と思っていたところから随分と早く開業したんですね。

僕はコンパニオンロボットが世間一般に広まるのは大体2020年くらいかな、と思っていたんです。でも2016年頃に、いろいろな企業がコンパニオンロボットを発表しだして、思ったよりも盛り上がるのが早かったな、と。これはうかうかしていられないと、個人事業主として製品化を目指そうと思ったんです。自分の気持ちの部分が大きかったですね。その少し後、東京都が主催する起業コンテストに応募しました。1000エントリーくらいあったのですが、優秀賞をもらい、会社化したら補助金がでることになったので、ロボットを作る会社として起業しました。11年生、17歳の時です。

在学中に起業され、学校生活はどのように送っていましたか?

平日はふつうに学校に通い、放課後や土日に事業活動をしていました。ビジネスコンテストで知り合ったり、会社設立後に応募してくれた人など、集まったメンバーとリモートワークで開発を進めていました。12年生劇では、野田秀樹さんの『罪と罰』に取り組み、主人公の英の父親役を演じました。12年生劇はとても面白かったです。チームを持って目的を達成することにやりがいを感じるし、演じることも好きでした。AO入試で慶應義塾大学に受かったのですが、卒業前には関係者も増えていて、卒業後は本格的に事業を進めようと決めていました。


自分のやりたいことを仕事にする、と決めたことにまっすぐに、それを実現してきた東出さん。後編では卒業後、会社として取組んでいること、東出さんがコンパニオンロボットを通して描いている社会の形について伺います。

ライター/中村暁野