学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2020.10.07

卒業生

学び続け、もっともっと生徒たちが楽しみながら学べる授業をしながら、ともに成長していきたい

卒業生コラム 第10期卒業生 脇元克也さん(後編)

脇元克也さん
現在9年生のクラスアドバイザー、そして体育の教員としてシュタイナー学園高等部の教壇に立っている脇元克也先生。実はご自身も学園の卒業生で、シュタイナー教育を12年間受けた後、大学で体育教育について学び、今度は教える立場となって学園に戻ってこられました。前編では学園で過ごした12年間についてお聞きしました。後編では教員として再び学園に戻ってきた今だからこそ見えること、感じることを伺いました。

前編はこちら


シュタイナー学園卒業後、鹿児島の体育大学に進学されたのですよね

一年間の浪人を経て鹿児島の体育大学に進みました。新しい環境で人間関係を築いていく中で、自分が過ごしてきたシュタイナー学園で得たものを客観的に見ることができるようになった部分もありました。高等部卒業までの『楽しかった』ことの多くは、学びそのものに関係することが多かったのです。それだけ楽しみながら学ぶことができる環境だったのだな、と改めて感じました。そのせいか、浪人時代の学びでさえもその中に楽しさを見出しながら進めていました。大学で教員免許を取り、その後大学院まで進み学んだのですが、いずれシュタイナー学園で教えたい、という気持ちは早くから持っていました。

どうしてシュタイナー学園で教えたいと思ったのでしょうか?

教員を志したきっかけでもあった、シュタイナー学園で体育を教えてくださった先生の存在が大きいです。その先生はお子さんを学園に通わせている保護者でもあったのですが、槍投げ、円盤投げ、バスケットボール、バレーボール等幅広く身体を動かすことの喜びや楽しさを感じられる授業をしてくださいました。当時、先生は他の高校でも体育を教えながら土曜日などを使って学園の体育を見てくれていました。『大変だろうな』と子どもながらに思い、大変でもやりたいと思える、深いものがシュタイナー教育にあるんだ、とも思っていたんです。この時からいずれはシュタイナー学園で働きたいと考えていました。大学院卒業後、シュタイナー学園に声をかけてもらい、教員として学園に来て6年目になります。一年目は体育の専科を教え、今は高等部のアドバイザーも受け持っています。

生徒として見ていた学園と教員となって見る学園は、ちがいはありますか?

改めて思うのは、シュタイナー学園では教員も学び続けているということです。当たり前といえば当たり前なのですが。シュタイナー教育という大きな軸を持ちながら、その時その時、目の前の生徒に必要なことを常に考えています。特にクラス担任を持っている教員たちの一回の授業に向けての準備は、大変なものです。長期の休みの間もクラス担任を持つ教員たちは次の学期の授業に向けて学んでいます。クラス担任以外の専科教員も、自身の教科の専門性を深めるため研鑽を積んでいます。また子どもの発達についての学びや、自身の成長のためのアントロポゾフィー(R.シュタイナーが提唱する人智学)の学びも必要です。教科書や指導書があり、黒板に書くものもやることも、全部フォーマットに沿った授業をしている学校もある中、シュタイナー学園では、その時の生徒たちを見ながら、そのクラスにしかない授業を教員と生徒がつくりあげていく。大きな責任を感じる分、やりがいや喜びが大きいのだとも思います。高等部のクラスアドバイザーを担当し、生徒一人一人の個性を伸ばすことの難しさを改めて感じました。多様な生徒がいる中でそれぞれに合ったアドヴァイスをするには、豊かな人生経験が必要であるとも感じました。これからも広い世界に関心をもって、自らを成長させていきたいと改めて思いました。

シュタイナー教育でご自身が得たと思うものはなんでしょうか?

自分を開く力でしょうか。自分のすることが何か形になったり、表したものを認めてもらえたり、そういったことが当たり前だった環境の中で、自分を開くことに抵抗を感じることなく大人になることができました。12年間シュタイナー教育を受け、今は教員として教えながらも、シュタイナーの学びは深すぎて、まだまだ全然理解できていると思えません。だからこそ、学び続け、もっともっと生徒たちが楽しみながら学べる授業をしながら、ともに成長していきたいです。


シュタイナー学園では先生たちも学び続けている、という言葉がとても印象的でした。学園で学び育ち、そして今なお教員として学び続けているとお話くださった脇元先生。貴重なお話をありがとうございました!

ライター/中村暁野