学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2017.10.09

藤野のシュタイナー的暮らしその3

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.13  2017.10.09

私たち家族が、シュタイナー学園に編入したのは2年半前のこと、娘が10年生(高等部1年)、息子は6年生に編入しました。子ども達がある程度大きくなってからの編入で、私たちが住まいを見つけたのは隣町の相模湖という地域でした。

マイペースな私たちが藤野の地域に馴染むにはしばらくかかりましたが、そこにはいつも緑豊かな自然が身近にありました。私たちの家は、眼下に相模川の谷を見下ろし、向こう側には山しかないような眺めのよい場所にあります。毎朝、鳥たちのさえずりと清々しい空気の香りの中で深呼吸をし、山の稜線にしずむ陽の残光に目を奪われ、四季折々の表情を見せてくれる山や森林にはっとさせられることもしばしば。特に一晩にして雪が積もった(またはうっすらでも)ときの白い山や木々の美しさといったら、都会の中のちょっとした公園の緑では感じることのなかった自然の美しさを目の当たりにする日々でした。

下の息子はシュタイナー幼稚園に通い、二人とも土曜クラスとしてシュタイナー教育にふれてはいましたが、それまでの公立の学校教育や便利な都会暮らしに慣れていた子ども達、とくに下の息子は、最初は泣いて引越を嫌がっていました。引っ越してからも、できれば高尾(八王子市)に住みたいなんて言っていたものです。それが学校に慣れ、友達とも仲良くなるにつれて、名倉(藤野地区内)に住みたいなんて言い出したのです。次第に近所の年の近い子たちともボール遊びなどをするようになりました。

私はというと、最初の1年は引越後の片付けから自分たちの暮らしを創っていくこと、学園に慣れること馴染むことにばかり気持ちが向いていて、正直あまり地域のことはわかりませんでした。学園では勉強会に参加したり、親達が無理のない範囲で学校の運営を助ける活動をしていて、それに参加することが私にとってはとても楽しいものでした。親達が集う小さな部屋にはいつも誰かしらいて、知らない人でも暖かく迎えてくれる雰囲気がとても心地よく感じられました。

2年目になると、私も少しずつ自分の活動を再開するようになりました。自宅で勉強会を開いたり、手仕事でものを作ったり、料理をふるまったり。そこから徐々に人間関係も学園から地域に広がり、ご縁をいただくことが増えました。藤野には萬という地域通貨があるのですが、そこには地域通貨を介した売買というよりも、情報交換、助け合いの精神があります。メーリングリストに参加し、閲覧や発信を通して地域と関わっている実感がもてるようになりました。さらに藤野で月2回開かれるオーガニックファーマーズマーケット、ビオ市でお惣菜やスイーツを販売するようになり、メールを通しての交流から、実際に顔を合わせての交流、お客としてたまに買い物に行っていたときよりも、まわりの人々との繋がりが増えていきました。

地域との繫がりが増えると、がぜん楽しくなるのが藤野の暮らしです。自然に寄り添ったくらしを身の丈で実践している人たち、芸術家やクリエーターなど創作活動を行っている人たち、ヨガやマッサージなどヒーリングをしている人たち、とにかくいろいろな人からパワーや影響をいただいて、自分の暮らしがより彩り豊かになってきました。藤野の人々の魅力は、自分の能力を誇示しなくても、お互いが魅力を引き出し合い、それぞれが自然体でより輝いていること。余計なおせっかいはしないけれど、こちらから近寄ればいつでも心を開いてくれるところかなと思います。最初はとっつきにくいかもしれないけど、心を開けばいつでも受け入れてくれます。それが心地よくて、毎週のように開かれるイベントにも参加したくなるし、参加できなくても、また今度いける時に行こう、という気楽な気持ちでいられます。

またいままで自然といったら、山に行ってキャンプしたりハイキングしたり、リラックスするのがせいぜいでしたが、目をこらすと(こらさなくても)まわりは山菜や野草の宝庫。山野草に詳しい人がたくさんいて、それを普段のなにげない会話のなかで教えてもらって食事に取り入れたり、お茶にしたり、そんな楽しみも増えました。11月18日に名倉校舎を会場に開催される藤野まるまるマルシェでも、無農薬野菜を栽培している地域の農家さんから直接おいしい食べ方を教えてもらえたり、山野草の観察会も開かれますので、ぜひ遊びにきてくださいね。

子ども達は、学園での学びも3年目となりました。最初はすでに人間関係の出来上がっているクラスに馴染むのは大変かなという思いもありましたが、気がついたら親の心配をよそに、すっかり溶け込んでいました。心を寄せ合える仲間がそばにいて、大人たちは子どもの成長のスピードに合わせて暖かく見守り、いざという時には助けてくれる、そしてここぞという時にいままで培った本当の力を発揮できる、そんな環境にいられることがとても幸せだなと感じています。

横山ゆき乃 (8・12年保護者)