学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2025.06.25

卒業生

自分が育った教育にもう一度触れたいと思ったとき、 立ち寄れる場でありたい

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.212 2025.6.25

夏に開催される「全国シュタイナー学校高等部合同芸術祭」のプレ企画として、6月28日、学校を超えた卒業生たちのオンライン座談会が開かれます(詳細はこちら)。今回は、シュタイナー学園16期卒業生で、現在は俳優として活躍されている角田萌果さんに、“卒業生同士の繋がり”について伺いました。

角田萌果(つのだ もか)さん
俳優。新国立劇場演劇研修所10期修了。青年座所属。個人ユニット「もかずきっちん」を立ち上げ、秋の舞台に向け準備中。また詩人として、自然と共生する感覚を生かしながら詩を編み続けている。https://mokaskitchen.studio.site/chinohatekara


 

卒業後の横の繋がり、縦の繋がりを教えていだけますか。

卒業して12年ですが、在校当時の高等部は1学年10名前後で上下の結び付きも強く、たとえば音楽をやっている同窓生のミュージックビデオに出演したり、オイリュトミーをしている人の舞台で朗誦したり、デザイナーの人に自分の詩集やWebページを作ってもらったりしています。俳優を目指している卒業生たちと話す機会もあります。

同窓会を立ち上げた想いを聞かせてください。

高等部の時に第1回全国シュタイナー学校高等部交流会が開かれ、その繋がりでその後のシュタイナー教育100周年イベントで全国の卒業生座談会の取りまとめをやりました。同窓会を立ち上げようとしたというより、ちょうど大きな行事があり、そうした機会に人を集めやすいかな、という流れで始まりました。当時、学園の12年生卒業演劇の指導に携わっていたので、学園で教員をしている友人と相談しながら進めていきました。

同窓生とはどんな存在でしょう?

在学当時はあまり話していなかった人でも、久しぶりに会った時に意外と話がはずみます。年が離れていても、他のシュタイナー学校の人と話してもそうです。安心感というか、どういうふうに育ってきたのか、なんとなく共通の匂いみたいなものがわかるので、お互いのことをすでに知っているような感じがします。

同窓会のこれからの展望を教えていただけますか。数年間やってきて見えたものがあれば教えてください。

同窓生の中でもシュタイナー教育への想いは様々です。経験によっても捉え方はいろいろ。それらの想いを受け止めることが大切かなと思います。ただ、自分が育ったシュタイナー教育にもう一度触れたいと思ったとき、立ち寄れる場であることを目指しています。

シュタイナー教育を受けた人が増えることは、こんな選択肢があるよ、というひとつの提言になる気がします。多様なあり方を認め合える社会、違う選択がしやすい社会を、卒業生が結果として生み出していくのかもしれません。

母校のあり方に疑問を持っている同級生もいて、なぜそこまで学校のために動けるのか、その情熱はどこから湧いてくるのか、尋ねられたことがあるんですね。その時、私は自分が今の自分であることが好きで、その自分を育ててくれた環境や人に対しての感謝の気持ちに気づきました。その恩返しのためにも、自分にできることをしていきたいと思っているんです。そして、こんな面白い人たちが育つ教育があるんだよということをたくさんの人に知ってもらいたい。

いつも座談会で言うことですが、俳優という仕事柄、表に出ることが多いのでシュタイナー学校の卒業生=”萌果“と思われがち。でも、卒業生にはもっと色々な人がいます。職業や性格も様々です。ただ、ひとつ共通するのは、卒業生は皆、その「色々」を「ふつう」に受け止めているということです。ありのままを受け止めてしまえる、ある種心の広さを持っている人たち。大きなことを言うと、この心の広さは世界平和に繋がっている気がします。


 写真撮影/坂本正郁 取材/事務局広報