2025.12.24
物語に包まれた学びの時間
卒業生コラム 21期生 土田温さん(前編)
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.225 2025.12.24
現在、東京・品川にてイベントスペースの運営やプロジェクトマネジメントに携わる土田温さん。小さな頃から身近にあったシュタイナー教育について、当時の記憶を伺いました。
シュタイナー教育との最初の出会いを教えてください。
三鷹にあった「なのはな園」です。母がシュタイナー教育に共感していて、姉も私も、シュタイナーの学びの環境の中で育っていました。物心ついたときには当たり前のようにその世界がありました。小さい頃は電車が大好きで、自分自身が電車になったつもりで走りまわったり、育つ中に自然とシュタイナーの世界があり、幼少期からとても楽しく過ごしていました。
1年生のときに藤野へ引っ越し、学園に入られたのですよね。
2007年、1年生のときに藤野に移り、シュタイナー学園に入学しました。学校でどんな学びに出会えるのか楽しみで、ワクワクしていたのをおぼえています。
低学年のころ、印象に残っている授業はありますか?
先生が多くの学びを「物語」で伝えてくれたことです。先生のおはなしを聞く時間が大好きでした。
音楽の授業も印象に残っています。ゴングを鳴らし、その音が響いている間は静かに歩き、音が止まると立ち止まる…そんな授業でした。音に集中し、自分の中でその響きを感じようとする、不思議で心地よい時間でした。
自分の暮らしを支えるものを自分の手でつくる学びが多くあり、手袋を編んだり、服をつくったり、田んぼで米づくりや家づくりをしたり。一つひとつが「暮らし」とつながっている学びを自然に楽しんでいました。
高学年になると、感じ方も変わってきますよね。
そうですね。オイリュトミーの授業で着るオイリュトミードレスを「着たくないな」と思ったり、小さな抵抗心はありました。でも結局、向き合うと楽しいんです。反発するクラスメイトの気持ちもわかるし、でも「そんなに反発しなくても面白いじゃん」と思う自分もいました。
8年生はシュタイナー教育の節目ですね。
8年生は研究発表や8年劇という学びがあります。私は「時と記憶」をテーマに研究をしました。当時、「今」という時間が「過去」になっていくことが寂しくて、名残惜しく感じていたんです。消えていく時間がどこに行くかという研究の結論ですが、糸巻きの様に自分自身に巻かれ、それが自分の芯を太くしていくという結論でした。
自分の感じたことを表現すると、先生方が真剣に受け止めて、丁寧にフィードバックをくれました。それが嬉しかったです。
8年劇では、長く一緒に過ごしてきたクラスメイト一人ひとりの内側にある豊かさが引き出され、互いを深く理解し合える経験でした。ひとつのものをつくり上げる時間の中でお互いを改めてリスペクトできた、とても大きな学びでした。
学校生活の中で楽しみなから学びを深めていった土田さん。後編では積み重ね、あたためられたものが豊かに発揮されていく高等部のお話をうかがいます。
文/保護者 中村暁野