2026.03.04
物語と探究のあいだで
卒業生コラム 21期生 勝田慎平さん(前編)
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.230 2026.3.4
現在、エネルギー企業で研究職として働く勝田慎平さん。環境やエネルギー問題に向き合いながら、日々研究を重ねています。幼少期からの学びと、研究への思いはどのようにつながっていったのか、お話を伺いました。
シュタイナー教育との出会いを教えてください。
小学生の時です。母がシュタイナー教育に共感し、藤野のシュタイナー学園に通うために横浜から高尾へ引っ越しました。
一般的な幼稚園からでしたが、子どもだったので特に違和感はありませんでした。学校は楽しくて、放課後は近くの神社でうりぼうを見かけたり、川で釣りをしたりして、自然の中で遊ぶ毎日でした。
印象に残っている学びはありますか?
4年生で取り組んだ「家作り」です。校庭にクラス全員で、縄文時代の竪穴式住居を一から作りました。木を組み、束ねた藁で壁を作り、二階建てにして縄の梯子で上がれるようにしたんです。
ものづくりが好きだったので、何かを作る学びが楽しかった。算数で分数を初めて知ったときのワクワクも、よく覚えています。小さいころは学びも遊びの延長で、とにかく「楽しい」という感覚が中心にありました。
高学年になると、気持ちの変化もありましたか?
5〜6年生になると、学園の外の世界にも憧れるようになりました。公立中学に行ってみたいと思ったり、シュタイナー教育の特色に反発して先生にぶつかったり。
「なんでこんなことをやらなきゃいけないのかわからない」と言って、困らせていたと思います。
振り返ると、守られた環境の中で自分の小ささを自覚し始めて、そんな自分を自分の力でコントロールしてみたい、と思っていた時期だったのかもしれません。
その時期に夢中になったことは?
6年生から8年生で取り組む「自由研究」です。自分でテーマを決め、6年生はメダカ、7年生は血液。そして8年生では「再生可能エネルギー」をテーマにし、半年ほどかけて取り組みました。
11歳のときに東日本大震災を経験したことで、原子力のニュースがずっと心に残っていたんです。図書館にあったエネルギー関連の本は30冊ほど全て読みました。
知識を得ると、物事の深みや複雑さが見えて、新しい視点が生まれる。それが新しい世界に出会うようで楽しかった。
発表後に反響があり、学校に太陽光パネルを設置してもらえたことも、嬉しかった記憶があります。
自由研究を経験して「研究者になりたい」「理系の大学で学びたい」という思いが生まれました。
研究する楽しさに出会い、自ら進む道を見つけていった勝田さん。
後編では、学園の外へ出て感じたこと、そして現在の研究へとつながる歩みを伺います。
文/保護者 中村暁野