学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2017.06.01

大人のための体験授業 「算数」編

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.1  2017.06.01

80ヵ国1100校で世界最大規模のシュタイナー教育は2019年で100周年を迎えます。アジアで第一号の当校も今年で30周年をむかえました。最近ではシリコンバレーで多くの著名人を輩出する人気校としても有名で、中国では50校を数える開校ラッシュが続くなど、国境や文化や宗教を越えて世界中で拡がり続けている特徴があります。100年の伝統があるのに未来型の教育として注目を集めている理由は何でしょうか。例えば、近年の教育トピックスである「アクティブラーニング」を100年前から実施していることからも、『人間とは何か』という人智学に基づいた教育が求められる時代になってきたのかもしれません。

このお便りではそうした伝統に裏打ちされた未来型教育のエッセンスや催事の様子などを読み物として楽しんでもらえるように意図しています。今号では

、先日満員御礼だったオープンデイの体験授業についてご報告させていただきます。

3 年生にタイムスリップした大人が、朗らかに学ぶ

シュタイナー学園の教室いっぱいに、算数エポックの授業を体験ししたいという方々が集まりました。すでに定員を超えて、見学だけでも、という方も座っています。

今回の体験は、「夏も近づく⼋⼗⼋夜、トントン〜」という歌に合わせた手遊びからはじまりました。参加者は最初⼾惑いながらも、2人組になって手と手を合わせ、子供のような笑顔で心から楽しんでいる様子でした。気持ちが和やかになったところで、全員で輪になって算数のリズム遊びを体験。

シュタイナー学園では、こう言った体を動かしながら学びの準備をします。エポック授業の導入部分、「リズムの時間」が大切にされています。

体験を通して知る、「測る」という学び今回は、3年生で学ぶ「はかる」という学びを体験していきます。「はかる」という漢字が3つあるのは知っていますか?

⻑さと広さは「測る」。
重さは「量る」。
時間は「計る」。

今回は⻑さを測ります、と先生がメジャという国の素話をしてくださいました。

「メジャという国の王様はたいそう立派で、外に出たことがありません。ある時、村に珍しい動物がいるという噂を聞き、王様は家来を見に行かせました。⼀人目の家来はたいそう大きくて⿐が⻑いと王様に伝えました。二人目の家来は、太い4本の足があると王様に伝えました。王様は、どんな動物かわかりません。三人目の家来が動物を見に言った後、王様の目の前で実物と同じ動物を作ってみせました。」家来は、どのように再現したのでしょう?

グループに分かれてディスカッションした結果、自分の体を使って動物を測ったということがわかりました。自分の身体を基準にものを測っていた時代があり、(人の意識の発展を追いながら、)自分の身体を尺度としてものを測っていくことをはじめに学びます。単位があることで、ものの大きさを伝えることができ、再現することができる、と。

ここで実験。

廊下に置いてあるものをそっと見にいって、⿊板に⻑さ大きさを描いてみることなりました。ただ漠然と見ただけで書いたのと、自分の体を使って測ってから書いたものを比べると大きさがまったく違います。尺度があると、人に正確に伝えることができるのですね。

3年生では、

・両手を伸ばした⻑さ「ひろ」
・頭の先からかかとの⻑さまでの⻑さ「つえ」
・親指と人差し指を広げた⻑さ「あた」
・ひじから手⾸までの⻑さ「しゃく」
・親指の幅の⻑さ「すん」

を学びます。

以前のように「みんなと⼀緒」の意識だったところから少しずつ個が目覚めてきます。少しずつ切り離された世界から、学びを通して意識的にもう⼀度世界と繋がりをもたせていきます。目覚めがあるからこそ、ものを正確に測ったり、見たりすることが出来ます。だからこそ、3年生では自分や身の回りのものを「はかる」という学びが合っているのですね。机に座って先生の言うことを聞いているだけではなく、実体験に基づいた学びだから、子供の心に残り、学びが広がっていくのだろうと感じました。

大人もワクワク!自分の体を使って「測る」

この体験でも、2人組になって、人間の美しい体の比率を測ることになりました。ひじから手⾸と同じ⻑さは?両手を伸ばした⻑さと同じ⻑さは?答えは書きませんので、⼀緒に考えてみてくださいね。それから、畳⼀畳の大きさに、大人何人が寝られるか?大人何人が立てるか?という実験をしてみました。こうした体験は、大人も子供もワクワクしますが、ここから⼀坪、⼀反と体験を通して測ることを学んでいくのだそうです。尺度の名前をただ暗記するのではすぐ忘れてしまいそうですが、この授業を受ければ、⼀生心に残りそう。そんな体験が、シュタイナー学園の子どもたちに⼀つ⼀つ根づいていくのですね。

シュタイナー学園のエポック授業

リズムの時間に手足を目覚めさせた後、こういった算数や国語などの学びの時間に入ります。エポック授業とは、担任が担当する約1 時間半の学びで、3 週間前後ひとつの科目をじっくり学ぶのが特徴です。なぜ、子供達はこんなに目をキラキラ輝かして学ぶのでしょうか?なぜ、子供達は学ぶことが楽しくて仕方がないのでしょうか?

この体験授業に参加して、大人も同じ気持ちになることに気がつきました。この体験授業の前に、「なぜお子さんをシュタイナー学園に入れたのですか?」という質問を受けました。「私が入りたかった学校だからです。」とお答えしましたが、この体験授業に参加して、ますますその気持ちが強くなり、また、子供をこの学園に通わせて良かったと改めて感じました。のびのびと体を動かし、詩を唱えたり、歌を歌ったりしながら全身と五感を使った学びのできる子供たちは、本当に幸せだと思います。この体験授業に参加された方々も、子供のような透き通った目で先生をみつめていたので、同じ気持ちになられる方が多かったのではないでしょうか。

大人も子供も勉強が好きになる、不思議な授業体験。あっという間の⼀時間でしたが、私の心に小さなあたたかい火が灯され、少し興奮しながら穏やかな気持ちで帰宅しました。「こんな授業が毎日受けられていいね」と娘に伝えると穏やかに微笑み返されて、改めてこの教育を受けられる幸せを噛み締めたのでした。

越野美樹(在校生保護者)