学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2019.12.04

7、8年生の国語から

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.73  2019.12.04

このたびの台風19号により被災されたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。

シュタイナー教育の特徴の1つに「エポック授業」と呼ばれる授業形態があります。朝の2コマを使って1つのテーマを2~3週間集中して学んでいくというものですが、専科の教員による国語のエポック授業は7年生から始まります。

7、8年生は共に、近代文学に2週間、古典に3週間の時間を当て、季節の詩を唱えたり、作品を暗唱して授業を始めていきます。毎日のことなので、前の日の振り返りをするうちにエンジンがかかり、すぐに集中していきます。そしてエポックごとにノートを仕上げていきます。

7年生は周りの世界のことをもっと知りたいと思い始め、8年生は周りを変えるべく変革をおこしたいと考える成長段階にあります。その成長の助けとなるよう、国語では、時代と意識が大きく変わった近代の文学と、古典とを学び始めます。話の展開を楽しむだけでなく、登場人物の在り方、時代背景、作者自身の意図にまで触れて考えていきます。

国語という教科には「聞く」「話す」「読む」「書く」という大きな柱がありますが、お話を自分で「読む」こと以外は、1年生から成長段階に応じた形で行われています。

特に「聞く」ことは大切にされていて、担任の先生による毎日の素話は子どもたちにとって大きな喜びです。場面を想像し、主人公に自分を重ね、お話の中に浸る、このイメージする力は国語力を支えます。その力は学年を経て少しずつ、情景や状況、人物の気持ちの理解へとつながっていき、そして8年生では相手の視点、俯瞰的な視点も意識できるようになります。言葉の響きや文章のリズム、場面に色を感じる力も加わり、思春期に向かって自分自身の本当の内面も「聞こう」としていきます。

「聞いた」ことや感じたことを伝えるためには「話す」方法も学ばねばなりません。双方向の対話が生まれ、相手を「聞く」ことも改めて意識されます。

 6年になると物事の因果関係もわかってくるので、「書く」ことで筋道を立てて考えることもできるようになっていきます。

そして、他の人の「書いた」ものを「読む」ことで、さらに自分の考えを深めていきます。

考えてみると、この流れは、人類が言葉を獲得し、文字を用い、互いを理解し合って共に生きようとしてきた長い歴史の、まさにその過程をたどっているように思えます。

さらに、これらの柱は、他の教科と共にあることで、縦糸と横糸が織りなすように支えられています。テーマとして関連する社会科や理科、言葉のオイリュトミー(※注1)はもちろん、例えば、音自体の響き、音のない休符にも耳をすます「音楽」、色と色が出会って新しいものを生み出す「水彩」などからも、子どもたちは、人間の内面や表現の繊細さに通じるものを感じ取っているように思うのです。国語の学びは国語だけでないと感じます。

世界の広がりは、喜びと希望の反面、時に失望や葛藤、痛みも見せてきます。しかし彼らはそれらを乗り越え、人間として豊かな感情と正しい思考を育てていこうとします。先人たちの生き様や考えが彼らの助けとなることを願いながら、時に情けない私の失敗談を一緒に笑いながら、少々大袈裟ですが人類の進歩にも想いを馳せ、彼らの前に立てるようでいたいと努めています。

※注1:オイリュトミーとは音や言葉の響きを人間の体の動きで表現する身体芸術であり、音楽オイリュトミーと言葉のオイリュトミーがある。

教員/ライター 小川善子