学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2020.08.19

子ども

みんなちがって、みんないい

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.87  2020.08.19

小学校5年生のころだったでしょうか。友人もなくいつも一人で遊んでいた私は「宇宙の果てはどこだろう、宇宙の外側はどうなっているのだろう」と空想することが楽しみでした。子どもながらに出した結論は、「宇宙はひとりの大きな人間の体でその中に私たちはいるのかもしれない、細胞一つひとつが人間、だから私の中にもたくさんの人間たちがいるにちがいない」

それから何十年?と生きてきて、やっぱりそうに違いないと思うわけです。細胞は一つ一つそれぞれの役割をもって共存し協働しながらひとつの体を生かしている。人間だけではありません、自然や動物も大事な細胞たち。それにしても私たちの住む宇宙はこのところ次々病に侵されています。一つの宇宙という体の中で共存どころか排除、破壊、協働どころか争い・・・

私のクラスには母国語が日本語ではない児童が数人います。母国語が日本語でない子供どもたちが学園で学んでいけるのか、答えはシンプル、ノープロブレム! 髪の色が違う、言葉が違う、肌の色が違う、習慣が違う、宗教が違う、それは性質の違いです。同じ民族の中でもこの性質の違いはあります。

地球上に住む私たち人間はみな、宇宙という大きな人間の体を生かしている細胞です。性質や役割がみな“違う”ことで宇宙という体は有機的に機能するわけです。“違う”ということはとても大事なことです。皆同じであればそれは何となく分かり合えているような安心感があるでしょう。

しかし本当に分かり合えているのでしょうか。もともと自分と別の存在とが完全に理解し合い同化することは不可能です。でもおなじ言語を話す者同士、きっとわかってくれるに違いないという甘えから、実は多くの誤解が生じたり、意見の違いを受け入れられなかったりすることってありませんか。

わかること、わかったことより相手をわかろうとする努力、過程が大事だと思います。何年も前から、国際化、グローバル化などといった言葉が教育界でも言われていますが、日本という国は歴史的にもまだまだ多様なものを受け入れる体験が多くありません。今、学園に外国からの入学転入の問い合わせが多くなってきているのは、神様が、「どうする?」とわたしたちの心の扉をノックしてくれているのかもしれません。

自分と違うものに出会うことは、自分自身を知ることにもなります。本当の自分に気づいていき、自立していかなければ、他を理解することはできません。違う者同士がお互いの役割を理解・尊重できれば、うまく協働し、この宇宙という体を健康に回復していけるかもしれません。つまり私たちにチャンスを与えてくれているのです。

これからも、どんどん外国からも日本からもたくさんの人々がこの学園の扉をたたいてくれるといいですね。楽しみです。

ライター/教員 帖佐美緒