学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2022.07.27

卒業生

ぬくもりを感じる色や素材で整えられた教室の中で、守られている安心感があった気がします

卒業生コラム 第20期生 山口葵さん(前編)

山口葵さんは現在保育士として働きだして2年目。シュタイナー学園第20期卒業生として、1年生から12年生までを藤野の豊かな自然の中で、シュタイナー教育を受けて育ちました。12年間を学びきった、楽しみきったからこそ今がある、そう話す葵さんにシュタイナー学校の思い出を教えていただきました。

後編はこちら


シュタイナー教育との出会いのきっかけを教えてください

乳幼児期は府中に住んでいて、斎藤公子さんの“さくらさくらんぼ保育”を取り入れている「わらしこ保育園」に通っていました。わらしこ保育園は、ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』の舞台にもなった野川や浅間山公園に近い豊かな自然に恵まれた環境で、五感を使って色んなものを感じ取り、どろんこ、びしょ濡れになるほど身体を動かす遊びや生活体験を通して、自ら向かい、生きる力を育むことを大切にしています。実はその園で今は保育士として働いています。小学校は、シュタイナー学園に子どもを通わせたいという両親の希望によって、藤野に家族で移住し、シュタイナー教育に出会いました。

小学校生活はどうでしたか?

シュタイナー教育では小さい頃は、子どもが安心できる『覆い』が大切だと言われていると思うのですが、ぬくもりを感じる色や素材で整えられた教室の中で、まさに『覆い』に守られている安心感があった気がします。わたしは低学年の頃、登校時に母と離れられなくて泣いてしまう子どもだったのですが、毎朝担任の先生が玄関まで迎えにきてくれていました。詩を唱えたり、先生のお話を聞く朝の会の時間も、わたしが落ち着くよう先生の膝の上に抱えてくれていて(笑)。担任の先生は8年生までずっと見てくださった栄大和先生という男性の先生でした。第二のお父さんのような存在で、今でも時々連絡をとっています。         

印象に残っている授業はありますか?

算数の学びがとても楽しかったのをおぼえています。どんぐりを集めて10個ずつ袋にいれて足し算や引き算を学んだり、かけ算やわり算を魔法使いの魔法として教えてもらったり、算数が得意かと言われたら得意ではなかったと思うのですが、学びがとても楽しかった。あとは、クレヨンをもらう時のことも印象に残っています。 シュタイナー学園では最初クレヨンを使って文字や数を書くのですが、最初は一色だけしか使いません。学びが進んでいくと、そのたびに新しい色のクレヨンをもらうのですが、布に包まれたクレヨンをそっと先生が見せてくれて、一人ひとり渡してもらうんです。宝物をもらうみたいで、『何色かな?』ってワクワクしていました。一色一色出会うことで、色の広がりやグラデーション、色と色が混ざり合って新しい色ができることを自然と感じていたと思います。最初から全部の色を使わないことにも大きな意味があったんだな、と今振り返り、気づくこともたくさんあります。

高学年になってくると一般的な学校とのちがいを感じたこともあったと思います。高学年〜中等部の頃は反発や反抗がありましたか?

わたしは反発、なかったと思うんです。学校が楽しかったし、8年生までわりとポーっとしていて(笑)。外部の学校に行きたいと思ったこともありませんでした。5年生からフルートを習いはじめたのですが、それは『お世話係』のお兄さんの影響です。シュタイナー学園では1年生の子に6年生のお姉さんお兄さんがついて、面倒をみてくれる『お世話係』という係があって、わたしを見てくれたお兄さんは、学園のオーケストラでフルートを担当していました。すごく憧れていて、わたしもフルートをやりたい!と習い始め、学園のオーケストラにも入りました。あとは本を読むのが大好きだったので、学校の図書館や地域の図書館で毎週本を借りて読んでいましたね。8年生まではのんびり過ごしていたのですが、9年生からの高等部はすごく濃くて、楽しくて、その分感じることもたくさんある時間でした。 


あたたかな環境の中で、のびやかに成長していった葵さん。後半では感じることが多かったという高等部での学びを経て、今の道を選ぶまでのお話をお聞きしたいと思います。

ライター:中村暁野