学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2024.03.06

卒業生

高等部から入学 そのままの自分を出せるようになっていった

卒業生コラム 第22期生 淺井英叙さん(前編)

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.178 2024.3.6

11年生での航海実習を機に船乗りを志し、現在航海士として働かれている淺井英叙さん。高等部からシュタイナー学園に入り、変化と成長があったという淺井さんの今までのお話を伺いました。

後編はこちら


シュタイナー教育との出会いを教えてください。

子どもの頃から港区に住んでいるのですが、小学校2年生の時に代々木にある土曜日だけシュタイナー教育の学びを受けられる「土曜クラス」に通い始めたのが出会いです。両親が子どもを育てる中で大事にしたいことと、シュタイナー教育が大事にしていることに重なることが多くあったのだと思います。
平日は公立の小学校に通い、土曜クラスでフォルメン(※1) や水彩やオイリュトミー(※2)など、シュタイナーの学びに触れていました。1〜6年生まであり、シュタイナー学校での学びと同じく米作りや家作りも行いました。
学校では周囲とのギャップがそれなりにあり、しんどさも感じていたのですが土曜クラスは楽しく通っていました。

※1)フォルメン:形を形成するときの動きの道、軌跡を体験する芸術体験
※2)オイリュトミー:シュタイナー学校の芸術教科で、言葉や音楽を身体を通して表現する運動芸術
 
中学校も地元の学校に進学されたと聞きました。

地元の中学校に2年生まで通ったのですが、中学生になるとギャップを感じることがより多くなり、反抗期も重なって、荒れた時期でした。今思い返すと本当に酷かったと思うのですが、両親は色々な高校の見学に連れて行ってくれたりと見放すことなく向き合ってくれました。どの学校にも興味が持てなかった中、シュタイナー学園の8年生劇を観に行った時に「おもしろそうだな」「行ってみたいな」と思えたのです。シュタイナー学園は8年生(中学2年生)が区切りとなり、9年生(中学3年生)から高等部となります。中学を卒業し10年生で高等部に入るか、9年生からシュタイナー学園に入るか、学園の先生方とも話し合い、高等部が始まる9年生からシュタイナー学園に通うことに決めました。
 
実際シュタイナー学園に入ってみてどうでしたか?

教室に入ると、みんなが大きな円をつくって丸く座っていることにまず驚きました(笑)。なんだか穏やかで、それまでの学校のどこか堅い空気とちがうと感じました。先生方も一人ひとりを見てくれている感覚があって、荒れていた自分が自然と落ち着いていきました。ずっと人と比べてコンプレックスを感じていたのですが、そのままの自分を出せるようになっていった。同時にそれまで反発していた環境や家族のありがたさも感じられるようになりました。
 
シュタイナー教育のカリキュラムや学びに戸惑いはありましたか?

シュタイナーの学びはエポックノートを自分で作り上げていくので、たとえば国語の授業なのに作品の解釈を絵で表現しなければならないなど、板書を写し教科書に線を引くだけだったそれまでの勉強とのちがいに戸惑いを感じたこともありました。でも授業がおもしろかったのです。特に数学がおもしろくて、放課後も先生に質問に行って一対一で教えてもらったりしていました。
 
高等部は実習も多くありますね。

9年生の秋に農業実習があるのですが、9年生から入学して本当によかったと思える時間でした。2週間ほどみんなと共同生活しながら農業に取り組み、実習の後にはクラスメイトとはもうずっと一緒に過ごしてきた仲間のように感じられるようになっていました。



シュタイナー学園に入り、自分を認めることができるようになっていったという淺井さん。後編では淺井さんの生き方に大きな影響を与えたという実習の話や興味があることにひたすら打ち込んだという高等部での学びについてお聞きします。

ライター/保護者 中村暁野